2016年6月9日木曜日

10歳のお母さんが教えてくれたこと

 つい先日、梅雨の晴れ間の夕方、とある公園で体験した、ちょっと心温もる出来事について報告します。

 それは、シロツメグサの花が咲く広場で散歩を楽しむ、二匹の犬の間で起こった出来事でした。
飼い主の女性とおとなしく散歩していた黒い犬(ミニチュアダックス・以下クロ)に、突然コーヒー色の犬(トイプードル・以下モカ)が全速力でぶつかってきたのです。そして、相手がおとなしいのをいいことに、噛むわ、なめるわ、飛びかかるわとモカの乱暴狼藉はどんどんエスカレートし。あまりの傍若無人ぶりに「ごめんなさい!、止めなさい!」とモカの飼い主さんがうろたえる一方で、クロを連れてきた女性はなぜか余裕綽々。ニコニコと楽しそうに携帯で二匹を撮影しながら、「大丈夫よ。この子はお母さんだから平気なの。安心して」と話されたのでした。

 子犬を産み、育てた経験を持つお母さん犬は、子育てが終わった後も母性を持ち続けることがあり、このクロはそれがとくに強いそうで、無邪気な子犬にはとにかく寛容なんだとか。そんなことを知ってから2匹の犬の様子を見た時、10歳のお母さん犬が私たち人間にとても大切なことを教えてくれているような気がしました。

それは、クロが小さな身体全部で、自分と大きさの変わらない4か月のモカの元気を無条件に受け止める、優しく、広い心こそが純粋な母性であること。

久しぶりに心が洗われるような美しいものを見たような気がしました。